数年前、非常に読み応えのある新書に出会いました。
売れに売れまくった「スマホ脳」です。
この記事では「スマホ脳」を読んだ感想、印象に残ったポイント、読んでから子供に対して気を付けていることをご紹介します。
・スマホが魅力的なおもちゃになっている
・シリコンバレーの先人たちがスマホ・SNSのパワーに恐怖している
・幼児にはタブレットを与えない方が良い
途中まではすごく楽しめ、展開も気になったので一気に読んでしまいましたが、怖くなってしまいました。
乳幼児~小学校辺りの保護者の方は読むと「怖くなった」理由を共感できるかなと思います。
スマホが魅力的なおもちゃになっている
朝起きてまずやるのはスマホに手をのばすこと。1日の最後にやるのはスマホをチェックして片づけること。起きている間は、平均して10分に一度はスマホに手を伸ばしている。
「スマホ脳」によると、それは脳の性能を知り尽くした脳科学者たちによってコントロールされているようです。
私たちはSNSをタッチする度に脳をあおられる為、SNSを魅力的に感じているのです。
人間とは不思議なもので、お金がもらえるカードを引くという実験をした場合、確実にお金がもらえるとわかっていると燃えず、お金がもらえるかわからない方が燃えるという結果が示されたそうです。
脳は結果が出るまでの不確かな過程に燃えるということです。
つまり、SNSやネットニュースで記事の更新がないか、「いいね」が増えていないかを確認するために、親指が画面をタッチするまでの過程に脳は燃えているのです。
シリコンバレーの先人たちがスマホ・SNSのパワーに恐怖している
フェイスブックの「いいね」機能を開発したエリートやアップル社の幹部が、スマホ・SNSの悪影響について後悔しているという記載もありました。
また、スティーブ・ジョブズが子供にiPadを制限していたことを皮切りに、ビル・ゲイツまでもが子供が14歳になるまでスマホを持たせなかったことも書かれていました。
何故、IT企業のエリート達がこぞってタブレット・スマホ・SNSを恐れたのでしょうか。
その背後には人間の脳の驚くべき変化が隠されていたのです。
「スマホ脳」がその謎を解き明かしてくれました。
幼児にはタブレットを与えない方が良い理由
幼児にタブレットを与えない方が良い理由として、子供は我慢ができない、読み書きの能力が育たないことを私は重要視しました。
子供は前頭葉が発達していないので物理的に我慢ができない
とある進学塾の国語教師の講演で興味深い話がありました。
・家族で行楽地へ遊びに行っても、子供がタブレットで遊びたいから後部座席から降りてこない
・水族館に親子で遊びに行っても、子供は手元のスマホばかり見ている
とある進学塾の国語教師
まさに我慢ができていない例ですね。
スマホへの欲求を我慢させるのは脳の前頭葉という場所です。
しかし、前頭葉は脳の中で発達するのが一番遅く、完全に成熟するには25~30歳になるまで待たなければなりません。
お菓子への欲求はラムネ等の小さなお菓子で補うことができます。
しかし、タブレットやスマホへの欲求は何に置き換えれば良いのでしょうか。
この本では、その答えを教えてくれています。
指の運動能力が低下し、読み書きできなくなる
例えば書く能力。
この本を読むと、次のような具体例を知ることができます。
ただ、そもそものベースとして、1歳未満の4人に1人がインターネットを利用していたり、2歳児の半数以上がインターネットを毎日使っている等の、日本とは比べものにならないインターネット利用時間が前提にあります。
子育て現場でのスマホ・タブレット利用
我が家はスマホの利用を禁止しており、5歳まではスマホに触らせませんでした。
6歳になってからは、親の買い物中に子供が興味を持てない時のみアプリゲームを許可しています。
ただ、乳幼児の子育て現場では「便利だから」とタブレットが導入されています。
・お昼寝の導入にタブレットからの音楽を流す保育園
・英語のオンラインゲームを生徒にタブレットでプレイさせている英語教室
この英語教室の場合は、話をよく聞いてみると「一台のタブレットを生徒1人につき3プレイずつ」交代させていることが判明。
長くても5分程ならタブレット慣らしに丁度良いのかなと感じました。
小学校でもタブレット学習は始まっているし、家庭で制限するだけでは限界があるのが現実となっています。
ただ、今さらタブレットを導入しない教育に戻ることもできないと感じています。
我が子がタブレット依存になりかけていたら・・・。
「スマホ脳」を読み返して対策を考えようと決意しています。
スマホデビューを遅らせる勇気がわいた
本書を最後まで読み、スマホデビューをできるだけ遅らせるという思いが強化されました。
当時の通信教育でタブレット学習という選択肢を考えたこともありましたが、タブレットにして付録が減って家がキレイに片付くよりも、子供の成長を優先することにしました。
著者も嘆き悲しんでいましたが、デジタルライフが人体に与える影響が判明するのは調査を開始して4~5年後だそうです。
4~5年経つとスマホやタブレットはより進化を遂げ、更にAIも掛け合わされて、より複合的なテクノロジーになっていくでしょう。
そうなると、更に研究は追いつかなくなります。
つまり、今のスマホ・タブレットの影響がわかるころには手遅れ、かもしれません。
私はこの本を読んでとても焦りました。
娘の教育現場の先生方はスマホやタブレットの悪影響を知っているのだろうかと。
「こんな本読まなければよかった。こんな事実を知らなければよかった。」途中まではそう思っていました。
でも、知ってしまったものはどうしようもありません。
テンションが上がらないまま読み進めていくと、なんと、解決策を発見できました。
デジタルハックされた脳を実に簡単な方法で救うことができるのです。
是非、この本を読んでみてください。
身近な方は読んでなかったら、是非、この本をすすめてください。
特に読んで欲しいのは、子育て世代のパパママ・おじいちゃんおばあちゃん、そして教育関係の方です。
もちろんどの立場の方であっても今後の人生の道しるべになること間違いなしです。
著者のアンデシュ・ハンセンの新刊「メンタル脳」はこちらです。
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